プロボイ エグゼクティブ・プロデューサー石田氏による、
開発の思い出や日常の色々なことを日記形式で紹介はこちらでご覧になれます。
http://www.gsx-watch.com/provoi.html
その中から「2005年87日()NO MORE WAR 戦後60周年を迎えるにあたって」 を抜粋。


2005年08月07日(日) NO MORE WAR 戦後60周年を迎えるにあたって

昭和20年8月6日午前8時ちょっと。
広島に原爆が落とされた日である。
僕は小学校のときに、「はだしのゲン」という映画でこの ピカドンを知った。
僕がGSXを立ち上げたのは1995年。
この年、世の中では「サリン事件」「阪神淡路大震災」といろんな事が続いた。

そしてこの10年間で、僕は個人的になにができるのかを探ってきたのである。
60周年は記念ではないが、記憶ではある。
61周年にそれをしても意味はない。
キリのいいときに、いつもそれを忘れないことで、知ることで、戦争や紛争を起こさない理由をまた見つけるのだ。

この「NO more WAR」は、広島原爆ドームを維持するための資金への寄付としている。
だからこうして8/6まで一般公表はしていなかった。8/15の終戦記念日にはサイトでもアップするが、事実、僕は戦争を知らず、どんどん体験した人は去り、ものだけがかろうじて残るのである。
もちろんものとは、当時の悲劇を物語る写真やその他いろんな形ののこるもののことである。
人は去るが、ものは維持して、次の世代へと受け継いでいかなくてはならない。
それが戦争の、広島にとっては広島の悲劇を伝えていくことであって、武器をもつことを思いとどまらせることでもあるのである。

しかし、僕がたとえば、戦争の悲劇を伝えようとしても、戦後21年後に生まれた僕だって「戦争を知らない子供たち」であって、真実は伝えられないのである。
映画やゲームでそれらを知り、ミリタリーファッションを僕も着る。
でもそういう軍服をイメージしたものを「戦争を知っていた」
祖母たちはどういう思いで見ていたのだろうか?と思うと、胸が詰まる思いも感じたことがある。

知らないということは「罪」なのだ。
知っていて起こす行動とはまた違うのだ。

だから、僕は「広島」の原爆ドームを訪れたときに、とてもいい意味で感動をした。
ひとつの「こころの旅」そのものであったのである。
だから僕は自衛隊の派遣なんて、絶対にありえない派でもある。

さて、この時計は「戦後60周年」ということでデザインをしてきたもので、では、広島が関係あるかというと、ちょっと違った。 今回はそういう主旨で是非、何かをしているのだということをみなさんにも少しだけ知ってもらいたいということで、考えさせた際、この原爆ドームの維持のために寄付をするということになったものである。
僕は寄付というものは、はっきりいって自分たちでやればいいものであって、それをしていることを公表して宣伝のようにするのは嫌だったから、今までもそういうことは公表をしないできた。
しかし、わかったのは公表することで買っていただける人、つまり賛同してくれる方もまた多くなるという事実である。
寄付の目的が自己満足ではなく、本当の支援であると考えれば、たとえその行為がある人にはなんか変な感覚に見えたり、偽善者のように見えたりしたとしても、できる限りの支援をしていくことが目的であると理解した。
できる限りの支援。それはできる限りでいいのだが、そのできる限りをどれだけのみんながしていくかが大切である。
心だけでは支援は実際できないのだ。
かといって、GSXなんてまだ赤字ギリギリのブランドで(笑)、余裕なんてないのも事実。
だから、スマートスタイルで、この時計をすることで、ひとつのスローガンとなればいいと思ったのである。

それはもしかするとひとつの「生きた満足感」なのだろう。
たとえこの「NO MORE WAR」が多くは売れなかったとしても、GSXを通して、今までのコラボ同様、今回は戦争を知ることの大切さを伝えていきたいと思うのです。