ノックをしなかったサンタクロース。

“ あなたは 神様を 信じる? ”
仕事が終わって 僕は2時。1万キロ 地球の裏側の彼女は16時。
ひさびさのクリスマスが休日だなんて “寝てしまうだけじゃないか”
僕がN.Yから告げた「今年は帰れそうにないんだ」に対するお返しだった。
たぶんサンタクロースよりも忙しいだろう僕にね。
“本当にいるなら 今 すぐにでも君のところに 配達をしてほしいくらいだよ”
と受話器に向かって つぶやきそうになった。
ベッドでぐったりしている僕をどう運ぶかは知らないけどね。

「あなたのいる国には ポケットの中にだって神様がいるんだから」
「???」

僕はポケットに手をつっこんだ。
“冗談じゃない。何、本気にしているんだ 僕は。”
ポケットには5ドルとコイン。くしゃくしゃのレシートたち。
「まったく安上がりな神様だ。」

“ねぇ お札はある?観てご覧よ。お札。”

僕は窓からかすかに差し込む街燈の明かりに、くしゃくしゃな5ドル札をかざした。

“IN GOD WE TRUST”
「神様を私たちは信じるか…」
だけど もう 彼女のサンタクロースになれるわけはない。
あと何時間かで彼女のクリスマスは終わってしまう。
いつものように彼女のドアをノックすることはできない。
そして僕は いつのまにか寝てしまった。
深く深く、頭の中ではトナカイの僕が 彼女にこきつかわれている。

“なんか、、、なんか暖かいぞ”
微かにあいた目の先のテーブルに キャンドルがひとつ。”キャンドルがひとつ ふたつ…?”
GSXの針は25日の22時をさしている。
窓辺の椅子には見慣れた ひさしぶりな彼女の笑顔があった。

僕のサンタクロースは、ニューヨークシティのアパートのドアをノックしたんだ。

東京−ニューヨーク。 1万キロ。
“過去に戻れる 魔法の時差14時間”。ふたりをクリスマスに間に合わせてくれた。





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